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企業のセクハラ対応(総論)

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セクシャルハラスメント、いわゆるセクハラには対価型セクハラと環境型セクハラがあるといわれています。

前者は、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動への対応(拒否・抵抗)によって労働者が解雇、降格等の不利益を受けることをいいます。
後者は、職場における性的な言動によって、職場環境が害されることいいます。

セクハラは、行為者による民法上の不法行為に他ならず、加害者は被害者に対して不法行為責任により、慰謝料逸失利益等の損害賠償義務を負います。

セクハラ事案の多くは、職場において行われることが多く、事案によっては、加害者のみならず事業主も法的責任を負う事態になることがあります。
具体的には、

  • ①職場環境配慮義務違反の損害賠償(債務不履行責任)
  • ②使用者責任(不法行為責任)を負う場合が考えられます。

1 職場環境配慮義務違反について

事業主は、労働契約上の付随義務として、労働者が働きやすい環境を維持する職場環境配慮義務を負います。事業主がこの義務を履行しない状態で従業員によるセクハラが行われた場合には、事業主は自らの責任として義務違反に基づく損害賠償義務を負います。

しかし、事業主が下記に記載する厚生労働大臣の10の指針に基づく措置を適正に講じていれば、職場環境配慮義務違反を理由とする損害賠償責任は免れると思われます。

2 使用者責任について

事業主は、雇用する労働者が職務を執行するにあたり他人に損害を与えた場合は、労働者と連帯して損害を賠償する責任を負います(使用者責任)。 

セクハラ行為が、例えば勤務時間外の宴会で行われた場合でも、宴会自体の職務との関連性、宴会への参加人数、参加の任意性、会費の出費状況等を総合的に判断した結果、事業主の「職務を執行するにあた」る場合があります。その場合には、事業主は従業員とともに連帯して責任を負います。

使用者責任においては、事業主が従業員の選任・監督に相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは免責されるとの規定もありますが、実務上この免責が認められるケースはまれであり、事業主が使用者責任を負うリスクは高いといます。

リスクを減らすためには、下記10の指針に従い、セクハラ行為自体の発生を防ぐことが最善の対策になると考えます。

男女雇用機会均等法第11条には、「事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」と定めています。

また、厚生労働大臣の指針により事業主が雇用管理上講ずべき措置として10項目が定められており、事業主はこれを実施しなければなりません。以下に10項目を列挙します。

詳しくは、厚生労働省都道府県労働局雇用均等室発行
「事業主の皆さん 職場のセクシャルハラスメント対策はあなたの義務です!!」
をご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/00.pdf

1.事業主の方針の明確化及びその周知・啓発

  • (1) 職場におけるセクシュアルハラスメントの内容・セクシュアルハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
  • (2) セクシュアルハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。

2.相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

  • (3) 相談窓口をあらかじめ定めること。
  • (4) 相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、広く相談に対応すること。

    3.職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

  • (5) 事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
  • (6) 事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと。
  • (7) 事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと。
  • (8) 再発防止に向けた措置を講ずること。(事実が確認できなかった場合も同様)
  • 4.1から3までの措置と併せて講ずべき措置。

  • (9) 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。
  • (10) 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。

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